Mr. Bike 2005.8 "アナタの知らないパーツの世界" 掲載記事
フューエルインジェクションとコントロールコンピュータ 01
「FI」エフ・ワンじゃないよ、フューエル・インジェクションの略だよ。正式には、”エレクトリック”が頭に付きます。現在、ラインナップされているスポーツモデルのほとんどといって良い程採用されている気化器、つまりはキャブレターに代わる次世代「混合気ワッセワッセと送り込みます器」なのであります。コストが大いにかかるFI化、なのにメーカーがこぞって推し進めるのにはワケがございます。車両を開発する上で、環境対策として低公害車開発があり、その中の一環として”排ガス規制値適合”がよく知られる。これは、規制値とされるクリーンな排ガスを実現するもので、FIは規制値をクリアするために大きなチカラを発揮するのである。そう、FIはキャブレターではなし得なかったきめ細やかな設定により、有害なガスを完全燃焼させる事が出来るのです。素晴らしいFI！ということで、FIの主要構成部品を紹介します。
- インジェクター
燃料を吹き出す電子弁。噴出させるインジェクター孔は、古くは1孔だったが、 現在では霧化促進させる目的で3孔から12孔と多孔式になっている。ちなみに、供給する燃料の量は一定で、量ではなく開弁時間で調整される。意外と不器用なヤツなのです。 - コンピュータ
燃料を供給するインジェクター開弁時間を制御する。 - スロットルボディ
スロットル（アクセル）開閉で直接ベンチュリー（バタフライ）開閉を行い、空気流入量を調整する。ちなみに、このスロットルボディ自体にインジェクターをセットするモデルがほとんど。また、アクセル開度センサーも取り付けられる。 - 高圧燃料ポンプ
インジェクターへ燃料を圧送する。インジェクターとの間には、レギュレーターを設け一定した圧力を保つ。インジェクターからピューッと、燃料を噴出できるのも高圧燃料ポンプのお陰なのです。また、ポンプ一体型のインジェクターも存在する。
えっ？ちょっと待った！インジェクターってば、燃料を少なく出したり多く出したりするんじゃないの？じゃーなにかい、アイドリング状態と全開ぶん回リング状態でも送り出す燃料の量や圧力は一定なのかい？
「わかりやすく説明しましょう。GPZのターボ（FI車）を例にして説明します。ノーマルのインジェクターは、1分間全開で150cc供給します。逆に全開以下の燃料供給量は150cc以下となります。これは、（ココがポイント）弁が閉じたり開いたり目まぐるしく行われ、燃料噴出時間を制御している事になるのです。わかりましたか？」
なんとなくわかった様なわからない様な...。
「確かに、燃料を供給する量の大小強弱を付けるというのはイメージを抱いてしまうのはわかりますが、逆にエンジンは常時爆発しているワケではなく、4サイクルは1回の爆発に対して4行程を必要とし、ピストンも2回の上下運動を行わなければなりません。そのエンジンへ吸気させる時に必要な分だけ送り込めば良いので、先ほどのGPZのターボでは1分間150ccというのが、ぶん回っている時に必要としている燃料の量なのです」
おぉー、常に燃え続けている焚き火に燃料供給するのとは話がちがいますからね、エンジンは！3拍置いて吸気されれば良いから、低回転域では、チョンチョンチョンって燃料を小出しにしていれば良いワケだ！
「ただし、排気量に合った供給量のインジェクターでなければなりません。例えば、750ccのエンジンから810ccへ排気量を上げたら、1分間全開＝150ccのインジェクターでは事足りません。ので、さらに多く供給するインジェクターに変更しなくてはなりません。壊れても良ければそのままでも良いんでしょうけど、ね」
あ、あまり聞かないお話ですね...。でも、結構シビアなんですね。
「そんなインジェクターの口径変更なんて、セッティングを出す上でシビアな内に入りませんよ！現在、FI搭載車には、先ほども触れましたが、メーカーがセッティングしたプログラムデータが組み込まれているコンピュータを搭載しています。もちろん、セッティングの変更は出来ない様になっています」
と、いうことは！キャブレターの様に細かなセッティング変更をする事が出来ないんですね？
「”キャブレターの様に細かなセッティング？”まず改めて下さい。キャブレターはFIに比べて、セッティング出しをする上で半分にも満たない能力しかないのです。キャブレターセッティングに必要なデータはスロットル開度と燃料を送り出す量。FIは、これに回転数（その他モロモロ）も加わりよりシビアなセッティングが可能なのです」
ちょっと待っておくんなまし！FIはリセッティングできないんじゃないんですか？
「アフターパーツとしてセッティングツールがありますよ！ただし、セッティングを出す時の様に様々なデータを収集しなくてはならなく、設備も整えなくてはなりませんので、素人さんでは難しい面があります。中でも重要な空燃費計は、排気管に装着し排気ガスから残留酸素を導き出します。そこから、理想的な空燃比へ変更させるのです」
ミスターバイク8月号
＊引用元：（株）モーターマガジン社
Mr. Bike 2005.8月号より一部抜粋して掲載させて頂いております。
＊当時の記載文をそのまま掲載してありますので、現在の仕様とは若干異なる場合があります。
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