セブンスナイト(SEVENTH NIGHT)◆HALTECH™(ハルテック)・MoTeC™(モーテック) インジェクションプロショップ

BIG BIKE Cruisin' No.47

BIG BIKE Cruisin' No.47 "特集 新・吸気時代" 掲載記事

手間をかけてのセッティング 完成度の高いフルコンFI

コンピュータセッティング「とにかくすべて分からないことばかりで、途中で何度も放り出しそうになった」と、このハルテック製エンジンマネージメントシステムによって、キャブレター車のZZ-R 1100のFI化を実現した山登氏。きっかけは、単なる好奇心からだったという。
「最初はマフラーを、右出しから左出しにするところから始まりました。多くのマフラーが右出しになっているけど、オイルパンのデザインなどを考えると、どうしても無理矢理右出しにしているような気がしてならなかった。それで、市販されているマフラーを切断し、自分で溶接して左出しにしてみたところ、簡単にパワーが上がった。その流れで、FIに手を出した」と言う。
全くデータのないところからスタートしたので、エンジンをかけるのさえも困難だ。しかし山登氏の場合、ハルテックを日本に輸入し、販売している日本輸入総代理店であるスピードスターから基本データをもらい、そこからすべてはスタートしたと言う。

ワンオフスロットルボディ「今はもう、純正品を流用したり、オリジナルのスルットルボディも安くできる方法を考えているのでそれなりのコストでできるようになりましたが、僕がFI化を考えたときは、ワンオフでスロットルボディを作らなければならない。ハルテック本体の倍くらいかかってしまいました。で、気が付いたらその時点でかかったコストが50万円を超えてしまっていた。もう、後には戻れませんよね、それだけかかってしまったら」と、そのときの状況を笑って振り返る山登氏。
ハルテックのシステムを動かすには、マニホールドの負圧、エンジンの温度、スロットルポジション、気圧、バッテリー電圧などのセンサー類を装備し、インジェクションボディなどFIのための装備が一式あれば、動かすことはできる。

現在ではノウハウも蓄積できたので、以前ほどセッティングの時間を必要としないと言うが、それでも最低、1週間程度の時間をかけると言う。

「基本的に量産しているわけではないので、1台1台、専用にセットアップしていきますからね。あらゆるスロットルの開け方、コンディションで走ってみて、セッティングを詰めていかなければならないんです。だから、僕のZZ-Rは、本当にいろんな人に乗ってもらいましたよ。自分だけでセッティング出すなら、自分専用で作ればいいから楽ですけど、スロットルの開け方って、人によって全然違いますからね。で、他の人に乗ってもらうと、自分では見えなかった部分が出てくるんですよ。で、それを直していって、徐々に、完成形に近付いてきた、というわけです」

プレッシャーレギュレーターと燃料ポンプキャブレターならば、ベンチュリー部を流れる空気の負圧によって、必要なガソリンが放っておいても吸い上げられて燃焼室の中に入っていくが、FIの場合はどのスロットル開度の、エンジン回転数がどの値の時にはこれくらいのガソリンを噴射する、という設定を一つ一つしていかなければならない。全くのゼロからスタートしていくのだから、実に細かい作業となるわけだ。しかも、二輪の場合はスロットルのコントロール幅が実に細かい。
「二輪の場合は1/8開度とか1/16開度とか、実に細かい。で、開け側だけでなく、戻し側もきちんと設定しなければ思うように走ってくれない。実に細かい作業になります。いろんな専門書を読みましたよ。でも実際には、本に出ていないようなことばかり。悩んで悩んで、やっと答えが出て何度も『そんなのどこにも書いてない!』って叫びましたよ」と山登氏。

FIは基本的に、ガソリンに一定の圧力をかけ、噴射時間をコントロールすることで、噴射する量を制御している。つまり、ガソリンの量を、噴射する時間で制御しているのだ。だからといって、本当にいつも同じ圧力で噴射しようとしても、それは現実的に不可能だ。というのも、インテークマニホールド内の圧力は、空気の流れる量で変化しているからだ。そのために実際には、インテークマニホールド内の圧力を足した値をガソリンにかけ、噴射しなければならない。これも、言われてみれば理解できることだが、基本構造を本で理解しただけでは、そこまでの発送には至らないだろう。また、ショップレベルでは、A/Fセンサーも理想的なものが入手できないため、非常にこのあたりは苦労しているという。

「A/Fセンサーは電圧変化で計測するもので、0-5Vタイプというのが正確で測定時間も短いため、セッティングするにはほしい機材なのですが、高価で、なかなか手に入れることができないのです。そうした機材がもう少し充実すれば、もっと早く、そしていいマップが作れると思うのですが」

しかし、本当に手間はかかっているが、山登氏の手がけたZZ-RのFIの完成度は高い。

*文章内の写真補足文

  • 写真上:山登氏はこのようにタンクバッグの中にノートパソコンを入れて持ち歩き、気になるところがあるとECUに接続してデータを入れていく。ソフト自体はDOS/Vで動くソフトのため(WINDOWSにバージョンアップする予定だそうだ)、多少古いパソコンでも十分に動かすことができるのはありがたい。こうした作業の積み重ねで、完成度の高いマップが完成されたのだ。
  • 写真中:アルミ削り出しのスロットルボディ
  • 写真下:ファーストアイドルバルブとエアーブーストバルブ

*引用元:(株)スタジオ タック クリエイティブ
BIG BIKE Cruisin' No.47より一部抜粋して掲載させて頂いております。
*当時の記載文をそのまま掲載してありますので、現在の仕様とは若干異なる場合があります。 © STUDIO TAC CREATIVE 2000 Printed in Japan

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